トーマの心臓

トーマの心臓 (小学館叢書)

トーマの心臓 (小学館叢書)

トーマの心臓』は文庫版しかないと思っていたので、ブックオフに100円でこれが置いてあった時には目を疑ったぜ!以下、ネタバレ全開なので注意!ヘッセの『車輪の下』、水無月すうの『ジューダス』、『少女革命ウテナ』が好きな奴は必読!★★★★でも良い気もするけど、東逸子の表紙絵が素晴らし過ぎるので★★★★★!

フラッシュバック――この世で最悪の呪詛だ。

「実は、図書室のラブレターはユーリがサイフリートに書いたものではないか?」という予想を立てながら読んだんだけど、半分アタリってとこだったかな?


「あと、イエスがなぜユダを裏切らせたのか?」というテーマがアリキタリってことは分かっているけど、『ジューダス』にインスパイアされた」と書いて「パクッた」と読む「呉ィ爺への反論エントリー」が、インスパイア以上に『トーマの心臓』のパクリっぽくなってしまって悔しい気分www ちくしょ、水無月すう…きさま読んでいるな?!(笑


ただ、「悪魔を崇拝する」ところまで突きぬけなかったのが『デミアン』との違いか?むしろ、構造的には『車輪の下』や『少女革命ウテナ』に近い気がする。『明るい世界』に臨んでいたのに、望むことしかできなかった――いや、望むことすら許されなかった、太陽の翼なき堕天使。

にしても、悪魔の部分の描写は凄かった。類似作品では「偏見」・「性生活」・「恋愛」などが悪魔のポジションだったが、ここまで「残酷」なものを人の弱さと絡めて提示してくるとは……。


まだ、書きたいことあるけど、今日はここまでかな。補完するよ。

私の愛の幻像はそういうふうだった。アプラクサスもそういうふうだった。
……動物的に暗い衝動ではなかった。
それは、また、ベアトリーチェの姿にささげたような、経験に精神化された崇拝でもなかった。
愛はその両者であり、さらに以上であった。(歓喜と戦慄、天使と悪魔、男と女、人と獣、最高の善と極悪)