連鎖といっても精々100人程度

卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。
自由の部屋と、自由の籠。
空の広さを教えずに、彼らは雛を可愛がる。
世界の籠を破壊せよ!

年間当たりに換算すれば100人も連鎖しないようだ。年平均で言えば、7・800人の10代が自殺しているみたい。*1いじめによる自殺より他の原因による自殺への対策した方が有意義な気もしますね。でも、多分だけど、病気とかが原因なんだろうな、この人達は。

あと思うんだけどさ。「学校だけが世界じゃない」って言う人いるじゃん?もちろん、本人がそれを知らないってのもあるけど、「大人がそれを許さない」ってのもあるんだろうな。だって、大人自身が、「学校という大きな物語しか知らない」んだもん。どこのバカが何もない虚無へ子供を放り出すのさ?それくらいの親心はあるって。

結局のところ、大人ですら世界を1つしか持っていない*2ってことなんじゃないかな?日本で、大人の自殺者が多いのは経済的な問題だけなのだろうか?ま、バカみたいに量産されている「生き返っただのなんだの」が日本の映画が提供できる物語の程度なんです。こんな物語じゃ泣けても武具になりゃしないさ――ちょっと脱線。*3

大きな物語亡き後、「小さな物語の消費が行なわれている」と大塚英志は言う。東浩紀に至っては更に進んで「データベースとして消費されている」、なんて言うけどさ。そうやって自分の物語を創れる奴はいいんだよ。一方で、それができない人達がきっといる。図書館の利用者と本屋へ足を運ぶ人の数の割合は、単純に足したって三割いかないでしょ?打率低いよ、これ。そしたら、大きな物語が消失した時点で物語は消滅してしまうわけよ。これって、相当に恐ろしいことだと思う。

で、だ。病気や経済的理由以外で自殺してしまう人達ってのは漫画すら、アニメすら知らないんじゃないだろうか?その世界が現実か架空かなんて関係ない。現に、学校という世界に囚われて逃げ出すことができないのならば、自身の中に世界を見るしかない、殻を作って防御するしかないと思うんだよね。

大塚英志は、ある女の子が「『バトル・ロワイアル』ではなく『赤毛のアン』に出会うことが出きたのならば、もっとよい結果になっていたのだろう」みたいな後悔を著書のどれかに書いていた。

現実はもっと深刻なのかもしれない。だって『バトル・ロワイアル』ですら届いていない可能性があるんだからさ。

正直、僕は恐ろしいね。中学生の時点で何年も虐められている。つまりは、同年代から、「本・漫画を読まなきゃ、ゲームをやらなきゃ、ドラマを見なきゃ」等と言った社会的圧力がないってことだろ?親も読まない、自分も読まない、周りも読まない。じゃ、いったい「何を」「いつ」「読もう」なんて思う?他の世界を知るチャンスが、「どうやって」やってくる?

ゲームや漫画は受動的メディアで「悪」だなんていうPTAママンが未だに生息しているかどうか知らないけど、こういった媒体を利用して子供はコミュニケーションしてるんだよ。そうすることによって他の世界を知ることができるんだよ。ポケモンをもっていないと仲間には入れないの。マジだよ、これ?だからDSは買ってあげようぜ。:-P

たしかに、ポケモンに大した世界観はない。だけど、孤立した際に、最低限の保険として、これらの媒体が自分の殻という世界を―防壁を―創る触媒になる可能性だってあるはずでしょ?それくらいの力はエンターテイメントにはあるよ。

だから、文部省。読書調査なんて視野狭窄なことをやってないで、「物語摂取量」をアンケートした方が良いんじゃないか?漫画、ゲーム、アニメ、TV、映画……なんだっていいから、全部ひっくるめて、実態調査をしてはどうだろうか?

蛇足:音楽、芸術、スポーツにだって、こういう力はある。だけど、汎用性・普及性を考えれば一歩及ばないだろうな。初期コストも高いし。

*1:ちょっと数字はうろ覚えなのだけども

*2:そういった意味で、「下流」だなんて言って悦に入ってる≪奴ら≫が、下流の彼らを「パラサイト」だのと嘲るだけの余裕が、真の意味で≪奴ら≫にあるのかは甚だ疑問だね。お前らこそが、見下すための対象―相対化するための宿り木―なしに自身に内在・乱立するゲゼルシャフトを統合できない「真のパラサイト」なんじゃねーの?統合に他者を"Right Rule"として持ち出さなければならない脆弱さ。なんとか言ってやってくれよ、ケンイチ君。

*3:もう、CM自体にウンザリなんよ......